【アタック】SWAM Cello【強化月間】
 以前取り上げたAudio Modeling社の「SWAM Cello」ですが、「そろそろアップデータが出てるかな?」と思いチェックしてみると、2.0.0がリリースされてました。

  • アタックをもっと強く!
  • ビブラートをもっと深く!

  •  この2点が僕の切なる要望なのですが、リリースノートを見ると1.2.1のところに「Improved attacks」という記述が見られるので、どう改善されているのか期待が高まる。

     余談ですが、この音源てSample Modeling社の「The Cello」って名前でしたよね。なんか社内が分裂したとか権利関係が云々とかで、現在金管以外はAudio Modeling社が扱ってます。名称もエンジン名から因んで「SWAM Cello」に改名。ややこしい!

     さて検証。とりあえずビブラートは置いといてアタック

     まずは、こちらをご覧ください。Embertone「Blakus Cello」で作りました。この荒々しさがSWAM Celloで出せたら合格。

     アタックに関係してそうなパラメータに注目。Atackタイプをエクスプレッションに、Accentを最大に、Atackスピードを最速に。Bow Pressureについては、上げすぎるとスクラッチノイズになってしまうのでとりあえずデフォの0.5で様子見。ベロシティは127、エクスプレッションは64に固定。

     その結果がこちら。んー、物足りない! 全然物足りない! なんか、譜面をなぞってるだけみたいな? 感情がこもってない。良く言えば「お上品」。クラシカルな音楽なら抑揚付けで何とかなりそうだけど、それ以外のジャンルではまったくもって物足りない。

     最初に思いついたのは、エンベロープの設定。シンセでアタック音の強い音色を作る場合、アタックを上げるのではなくディケイやサスティーンを下げますよね。それと同じことをSWAM Celloでやってみようかと。
     がしかし! 残念ながらエンベロープの設定はできないっぽい。

     ならばと、アタック音を強調したいノートの冒頭で瞬間的にエクスプレッションを上げることに。つまり手動でエンベロープを描く感じですね。
     ただ瞬間的に上げるには、エンベロープ同様に基本値(ディケイ・サスティーン)を下げておく必要がある。下げれば下げるほどアタックは強調されるけど、あまり下げてしまうと、抑揚が付けづらくなってしまう。なので、とりあえず基準値を32にしてみました。

     その結果がこちら。おおお、かなりいいんじゃないでしょうか!? まるで弓で切りかかってくるかのような攻撃性!
     このテストではアタックをことごとく強調しましたが、実践においては「ここぞ」という時にのみ繰り出します。

     うん、SWAM Celloでここまでできれば、もうBlakus Celloに未練はない。レガートやポルタメントは、SWAM Celloの方がナチュラルだし。そもそもEmbertoneの弦って、超モタるし……。
     攻撃一本槍な曲もさることながら、「静の中の動」というか、「影の中の光」というか、「飴と鞭」というか、「蝶が舞い蜂が刺す」というか、SWAM Celloならそんなイメージの曲も実現可能な気がします。

     気を良くして、打楽器を加えてみました。するとどうでしょう、大げさだったアタック音がさほど大げさには聞こえなくなりました。
     曲に厚みが増せば増すほどアタック音が馴染む(埋もれる)ので、多少大げさにしておいても良いのかもしれませんね。

     さらに調子に乗って、アタックにBow Pressureでスクラッチを加え、Bow LiftをOn Stringに。うーん、ヒステリック(笑) On Stringにすることにより、弦の響きが抑えられスタッカートにシャープさが増しますね。
     さすがにここまでくるとかなり用途が狭まりますが、重要なのは「そういう表現も可能」ということ。いつか必ず必要な時がくるのです。

     そんなわけで、このアタックの表現を活かして実践。「チェロとピアノによる小品集 第5曲」としました。

     ちなみにビブラートの方ですが、これ以上深めることはできなさそう。もうちょっと欲しいだけなんだけどなあ……。

    3/2/2018 17:38 note library

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