今週の音楽「夜想曲 第2楽章」はいかが?
Soundtrack Pro 1.1 辛口レビュー
 「Final Cut Studio」が届いて2週間ちょっと経ちますが、その間「Soundtrack Pro 1.1(以下SP)」は使う機会がけっこう多かったので、ここらでレビューを書きたいと思います。
<長 所>
  • マルチトラック
  •  僕がこれまで使用していた「Peak」は単一トラックの編集ソフト。なので、マルチトラックを扱う場合はLogicを使ってましたが、デカいソフトだけに起動に時間がかかって頂けない。なので、SPのようにサクっと起動してくれるソフトはありがたいです。

  • クロスフェイド
  •  クリップ間のクロスフェイドが楽。クリップとはPeakで言うところのリージョンですね。ちなみにver2ではクロスフェイドのタイプも指定できるそう。

  • ノイズリダクション
  •  今までこのテの機能はいくつか試しましたが、どれも原音に影響を及ぼしてしまい使いものになりませんでした。が、SPに搭載されている「ノイズを軽減」はかなり賢かったです。特にヒスノイズやハムノイズに威力を発揮します。

 と言うわけで、長所はこのくらいかな?(苦笑) 以下は短所のオンパレードです。
<短 所>
  • サウンドドライバとの相性?
  •  まず致命的なのは、僕の使用しているDELTA1010ドライバとの相性が悪いこと。再生を止めた際、毎回ではないですが止めた位置から5フレ前後の無限ループに陥ります。もちろんPeakやLogicでは起こったことがない現象。
     現在はDELTAの設定を変更することにより回避してますが、どうもSP上でオフに設定してあるはずのモニタ機能が生きてるご様子。

  • よく落ちる!?
  •  波形編集モードで、且つプラグインを噛ませている状態で何か処理をしようとすると、かなりの確率で落ちます。
     モノラルファイルに対してエフェクトをかける際、なぜかステレオ処理用のプラグインしかリスト表示されないのも不思議。どうもこの辺に原因がありそう。現時点では、一旦モノラルファイルをステレオに変換することで回避できています。

  • 意図せぬウィンドウが閉じてしまう
  •  コマンド+wでウィンドウを閉じると、アクティブなウィンドウが閉じてしまう。当たり前ですが(笑)、ミキサーやブラウザウィンドウ等はフローティングウィンドウにするべき!

  • スクロール
  •  SPはスクロールではなくページ切り替わりタイプ。仕様だと言われればそれまでですが、画面の真ん中でスクロールしてほしい。

  • ショートカットのカスタマイズができない
  •  その上、波形編集モードではコンテクストメニュすら出ない。よって、作業効率が非常に悪い。

  • タイムルーラー単位を記憶しない
  •  デフォルトのタイムルーラーは秒。その他、好みに応じて「フレーム」「ドロップフレーム」「ノンドロップフレーム」に切り替えられるのですが、記憶してくれません。僕はいつもフレームで作業するので、毎回指定し直さなければならずかなり面倒。

  • オートメイション
  •  クリップを移動させても、オートメイションが追随しない。全く意味がない!(呆)

  • キャッシュファイル
  •  作業過程で生成されたファイルが、SPを終了した後も残ります。これは途中でSPが落ちた場合などは履歴を辿れるので便利と言えば便利ですが、放っておくと溜まる一方なので僕的には不要。

  • mp3書き出しができない
  •  これはなぜ? プロにはmp3は不要とでも??(苦笑) ヘルプによると「iTunesで変換してください」……って、iTunesのmp3エンコーダーはヘタレなので使いたくないです(苦笑) よって僕の中でPeakは、mp3コンバータとして手放せない存在となりました。

  • クリップ書き出しができない
  •  もちろん、個別には書き出せますが、Peakのリージョン書き出しのように一気には書き出せない。

  • バッチ処理ができない
  •  よって、似たような処理は1つ1つ手動でしなくてはならない。

  • 波形の描画
  •  PeakもLogicも、最初の波形表示にはそれなりに時間がかかりますが、一度計算した波形はファイルに記録されるので次回開く際は速いです。しかし、SPは毎回開くたびに計算します。数分のファイルならそれでもかまいませんが、数時間のファイルを開く際はかなりのストレス。

  • 波形エディットの出力
  •  例えば出力1(マスターアウト)でリミッターをかけているとします。その状態で波形編集モードで音を出すと、リミッターのかかっていない音が出ます。つまり、波形編集モードとミキサーの設定は無関係ということになります。これは修正してほしい。まあ、無関係であってほしい時もありますが……

  • リアルタイムバウンス
  •  例えば1つのファイルを複数のクリップに分け、そのうちの1つにバウンス処理を加えた場合、ファイル全体に適用されてしまう。もちろんそのクリップの範囲が選択されているにも関わらずです。ノーマライズ等の通常の処理はそんなことないんですけどね。

  • ミックスに難あり!
  •  単独のトラックのみ書き出したい時は「トラックを書き出し」で良いのですが、複数のトラックのミックスを書き出す場合、事前に書き出したくないトラックをミュートしておく必要がある。まあ、これは普通ですね。が、SPの場合、1番長いトラックの尺で書き出されてしまうため、クリップの配置によっては前後に無音が付加される場合がある。なので、ミュートに加えて、書き出す範囲の指定をしておかなければならない。

     例えばトラック1と4をミュートし、2と3のミックスを書き出したい場合は、上図のように範囲指定しておかなければ、1の頭から4の最後まで書き出されてしまうため、前後に無音部分が付加されてしまう。もっと書き出し方の設定にバリエーションがほしいところです。

 と、こんな感じでしょうか。郷に入っては郷に従え。これでもかなり歩み寄りました。しかし断言します、かなりヘタレなソフトです。PeakやLogicのようにサウンドメーカーが開発したソフトではないため、使う側に立った配慮がまったく感じられません。Appleとしては、手っ取り早く主要ジャンルのソフトを揃え「Macを使えばこんなことやあんなことが手軽にできますよ」ということをアピールしたいだけなんでしょうね。
 まあ、淡い期待を寄せるとすると、7月発売の「Final Cut Studio2」。これでSPがどのくらい改善されるか……です。現状ではとても名称に「Pro」の付くソフトではないです。
 まあ、Appleは好きですし、決して17日のことを根に持ってるわけでもありません(苦笑) 期待が大きすぎたんでしょうね。でも、やはりヘタレはヘタレ。iPhoneやLeopardで忙しいのかもしれませんが、こんなやっつけ仕事してちゃダメですよ!!!

4/21/2007 23:59 note software

comments & TB (0)

name

trackback URL