今週の音楽「slow steps」はいかが?
ノーマライズとリミッターの基礎
■ノーマライズ
 例えば、こんな波形があったとします。ピークまで60%の余裕があります。

 ノーマライズすると、解析されたボリュームの最大値を元に増幅処理が行われます。つまりこの場合、60%増幅されたことになります。
 ここで重要なのは、増幅が相対的に行われたこと。なのでノーマライズにより小さかった音が大きくなりましたが、大きな音はより大きくなりました。

 ちなみに「ノーマライズすると音質が悪くなる」と主張される方を、たまにお見受けします。「ノーマライズにより目立たなかった音(ノイズ)が目立つようになる」という点においては一見(一聴)劣化したように感じますが、「10db増幅された波形は10db下げることにより元に戻る(相対処理)」のがノーマライズですから、後述するリミッターとは異なり可逆圧縮、もとい可逆加工であると言えます。つまり音質に変化は来しません。

 次に別の例をば。このような波形は、ノーマライズしても効果は得られません。なぜならば、すでに赤丸の部分でピークに達しているからです。
 中には強引にフェーダーを上げてしまう人がいますが(特に映像系の人w)、それはたまたまクリップしないだけです(怖) 明らかにレベルの低い素材の場合以外は「フェーダーは下げても上げるな」です。

■リミッター
 リミッターとは、指定したレベル(Threshold)を超えないようにする(リミットする)エフェクトです。
 例えば、Thresholdを-16dbに設定してみます(赤線の部分)。まあ、ここまでやると、音声によってはノイズがかなり増幅すると思いますが(笑)……とりあえず例ということで。

 リミッターをかけると、このように-16db以上は-16dbに抑えられる形となります。おかげで、上限にかなりの余裕が生まれました。

 そしておもむろにノーマライズ。その結果、16dbの増幅を得られました。まあ、当然ノイズも16db分増えるので、ご利用は計画的に(笑)

 ちなみにソフトやプラグインにおける大抵のリミッターは、ノーマライズまで行ってくれます。このプロセスを知らないと「リミットするのになんで音が大きくなるの?」といった疑問に悩まされます(笑) この辺がリミッターの取っつきにくさの一つではないでしょうか。
 なのでこう考えましょう。「本来のリミッターとは、「レベルを揃える(リミットする)ためのエフェクター」なので必ずしも増幅が目的ではない」と。

8/4/2013 20:56 note tips

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